おむつかぶれとは、おむつが当たるお尻や太ももの内側などに、赤み、湿疹、発疹などが起こる皮膚の炎症です。赤ちゃんは、おむつの中が長時間湿った状態が続くため、皮膚のバリア機能が弱まりやすく、かぶれやすい傾向があります。軽度なものであれば、比較的簡単に治りますが、ひどくなると、痛みやかゆみで赤ちゃんが不機嫌になったり、二次感染を起こしたりすることもありますので早期発見と適切なケアが大切です。
おむつかぶれの症状は、初期には、おむつが当たる部分に赤みが出ることが多く、触ると少し熱感を感じることがあります。軽度の場合、赤みだけで痛みやかゆみは少ないことが多いです。症状が進むと、赤みが強くなり、ブツブツとした湿疹や水ぶくれができることもあります。ひどい場合は、皮膚がただれてジュクジュクしたり、強い痛みやかゆみで赤ちゃんがぐずり、機嫌が悪くなることがあります。
おむつかぶれとよく似た症状の皮膚炎に、「カンジダ皮膚炎(乳児寄生菌紅斑)」があります。これは皮膚に常在するカンジダという真菌(カビ)が増殖して発症する感染症で、おむつかぶれとは別の疾患です。カンジダは口の中などに普段から存在する常在菌で、健康なときは病気を引き起こすことはありませんが、体や皮膚の抵抗力が落ちたり皮膚の温度や湿度が高くなったりすると繁殖しやすくなります。おむつに触れていない部分にも炎症が起きている場合は、カンジダ皮膚炎が疑われます。
おむつかぶれは、おむつ内の湿った状態が長時間続くことが主な原因です。尿や便の刺激、おむつの摩擦、汗などが皮膚のバリア機能を低下させ、炎症を引き起こします。特に下痢は皮膚への刺激が強く、胃腸炎などで下痢症状が出ると、おむつかぶれになりやすくなってしまいます。
また、おむつの素材やサイズ、おむつ交換の頻度、おむつ交換の際のおしりふきの使用による刺激なども影響します。
軽度のおむつかぶれであれば、皮膚の清潔を保ち、乾燥させることが重要です。おむつ交換の際に、ぬるま湯で優しく洗い流し、清潔な柔らかいタオルで拭いてあげましょう。おしりふきでゴシゴシ拭くのはNGです。強くこすると症状を悪化させてしまいます。おむつ交換の際に10分程度おむつを着けずに乾燥させることも有効です。
必要に応じて亜鉛化軟膏という白い塗り薬を使用します。患部を保護し、炎症を抑えたり、やわらげる効果があります。尿や便から皮膚を保護することが重要ですので、塗る時は皮膚が見えなくなるぐらいたっぷりと塗ることが大切です。
また、症状によっては、ステロイド剤を使用することもあります。
おむつかぶれとカンジダ皮膚炎は、治療法が異なります。おむつかぶれだと思って市販の薬を使ってしまうと、症状が悪化するので自己判断は禁物です。
おむつかぶれを防ぐためには、こまめなおむつ交換が最も重要です。尿や便が付着した状態を長時間放置しないようにしましょう。おむつを長時間使用せず、こまめに交換することで、おむつと肌との摩擦を軽減できます。おむつ交換の際には、お尻をぬるま湯で優しく洗い、よく乾燥させることが大切です。
刺激の少ない、お肌に優しい通気性の良いおむつを使用することも有効です。サイズの合わないきついおむつも、皮膚をこすって炎症を起こすことがあります。メーカーによって実際のサイズが異なる場合があるので、体形に合ったものを探すようにしましょう。
おしり拭きに防腐剤や香料が入っている場合には、それが刺激になっていることもありますので、その場合はおしりふきを変更するようにしましょう。
小さなお子さんにとって、おむつかぶれは非常に不快なものですので、気になる症状があれば早めに受診しましょう。